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カンボジア支援国会合に対するカンボジアNGO共同声明

MEDiCAM:(86団体)、NGO Forum on CAMBODIA:(61団体)
CCC (Cooperation Committee for Cambodia)(75団体)全150団体
1999年2月25日〜26日、カンボジア支援国第3回会合が世界銀行の主催で東京で開かれ、日本や米国、フランスなど計24の国々と国際機関が参加し、カンンボジアのフンセン首相も出席して、世銀の援助計画に基づいて具体的な援助について話し合いが行われた。日本政府は31年ぶりに円借款の再開を表明した(シハヌークビル港の改修事業に31億円)。

 この会合にカンボジアのNGO代表3名が出席し、現地NGOの視点として、人材の育成、貧困の緩和、法秩序の尊重の3点が優先されるべき課題であるべきである、との「NGOの共同声明(ステートメント)」を発表した。また、「分野別報告」を添付した。

 報告は次の11分野で、和訳を「カンボジア市民フォーラ ム」(Tel:03-3834-2388 JVC内)でお頒けしている。

   1.子供の権利
   2.教育
   3.環境
   4.ジエンダー(社会的性差)と開発
   5.保健部門改革
   6.HIV/AIDS
7.土地問題
8.地雷
9.精神保健
10.小規模融資
11.法の支配と人権
ここでは、「8.地雷」の和訳を以下に公開します。

カンボジアNGOの共同声明(ステートメント) 分野別報告

東京、1999年2月25日、26日
訳:カンボジア市民フォーラム

8.地雷
 地雷被災地域の人々と密接な関係をもって活動するNGOとして、私たちは地雷によつて引き起こされる貧困・居住地からの避難、それに原因する様々な苦難に深く関心を寄せている。私たちは支援国及び国際機関に対して、地雷除去・地雷意識教育・被災者の支援・地雷被害情報の収集といった地雷対策の重要な部門に対する資金援助の継続を要請する。国際機関・政府諸省庁そしてNGOは、地雷によって被害を受けている農村地域で活動を進めるときは相互の連携が必要である。援助機関が連携する事によって、 これらの地域が水・道路・学校・保健センター・収入向上の機会などを手に入れる事が可能となる。

 私たちは、カンボジア王国政府が1997年12月のオタワ地雷禁止条約の署名国の 一員であることをここに特記することを嬉しく思う。また、私たちはフン・セン首相が最近カンボジア地雷対策センター(CMAC:Cambodia Mine Action Center)によって開催された地雷に関する国際会議(98年10月末)において、その条約を批准するための法律を新政府発足後、できるだけ早く国会を通過させると約束したことを高く評価する。地雷除去の推進に対する公約の表明として、政府が条約を批准し、貯蔵地雷の速やかな破壊を始める必要がある。

 1997年12月の地雷禁止条約の署名以来、カンボジアではさらに1,600人またはそれ以上の人々が地雷と不発弾の被害に遭った。地雷禁止条約の批准はゴールでなく、地雷による苦しみや災難に対する戦いへの新たなスタートなのであり、支援国の援助は今後相当の期間は必要である。

 支援国は地雷除去活動に財政支援をするに当たり、現地での地雷除去活動が、活動のすべての段階を通じて、その本来の目的を達成できる方法で実施されているかどうか厳 しく監視を続ける必要がある。地雷除去作業は地中の地雷を掘り出してしまえば終わるというものではない。地雷によつて住居を追われ、土地なしになった人々の手に安全な土地が戻った時、はじめて完了するといえる。政府は難民、国内避難民たちがそれぞれの家や農地に帰る事ができ、彼らの土地の所有権が保証されるようにする必要がある。政府が彼らの土地の所有権を保証することにより、いつたん土地なしの状態になり、社会的弱者となった人々も、自立可能となり、カンボジア経済に貢献する事もできるようになる。

 地雷埋設の多い地域で活動中だったNGOが、除去の終わった土地が必ずしも、土地返還の対象の人々(すなわち難民、国内避難民、土地なし農民たち)の手に渡っていないことに気付いたのは1998年の事であった。

いくつかの問題点もはっきりしてきた。

  • 以前、その地に住んでいた村人たち、現在の土地占有者(辛うじて生きるためにその土地を使っている人達から土地を投機の対象と見るものまで)、行政機関、あらゆる階級の軍関係者、その家族、等を巻き込んだ所有権争いが起こっている。
  • また、誰が土地分配の権限を持つか?に関する混乱もある。たとえばある高級官僚が、現地当局に通知せず、承諾も得ないまま業者に土地を売り渡したが、その土地はすでに現地当局が他の開発プロジェクトに割り当てていたものだった、という例もある。
  • さらに、地雷除去の終わった土地の使用目的を、居住あるいは農耕のいずれにするか?、どちらの受益者が使用するか? を調査して確かめる手順も法的手続きも存在しない。
  • 土地に関する法律もはっきりしていないが、地雷が除かれた土地の権利書の発行の手順は特に不明瞭である。所有権自体が正式に存在しないこともしばしばある。居住や使用により所有権を主張する、というごく当たり前のやり方をとることも、地雷のために避難せざるをえなかった人たちには不可能である。また、たとえ所有権はあっても、権力者に自分の権利を譲らざるをえないケースも少なくない。土地の登記や承認、所有権の尊重など一連の手続きも確立されていないため、所有権を守りたいために危険を承知で地雷原に住み続ける人達さえいる。
  • また、地雷のない空き地があるにも関わらず、当局が地雷だらけの土地を避難民の定住地に割り当てることもある。

 除去が終わった土地で、所有権の問題が起きている土地の比率を推定するのは困難である。1998年度のCMAC社会経済ユニットの報告によると、「問題が発生する土地の比率はきわめて低い。調査した地域での発生率はわずか4%にすぎない」と言っている。しかし、この数字は現在までにCMACが地雷除去した、全面積の20%の比較的立ち入りやすい地域での調査によるもので、地雷事故多発地帯で活動するNGOは、 実際の比率はCMACの数字をはるかに上回るとみている。そしてCMACの報告書が指摘するように、それらのNGOも、各組織の適切な協調と協力なくしては土地問題発生の比率は大きくなる一方だと考えている。これらのNGOは特に、以前軍の支配地域で一般住民が避難民として流出していた地域では、各組織間の協調と協力無しには、土地問題は更に増大するというCMACの見方に同調している。

 土地の利用計画の手順の改善は緊急を要する。土地の割り当てと所有権問題は地雷の除去活動が始まる前に解決されるべきものである。そして除去終了後には実際に対象と なった受益者達が間違いなく土地に戻れるよう、除去活動の各段階を通じて適切な監視を続けなければならない。また、さらに除去を終えた土地から発生する問題の解決には、地雷除去グループ・政策提言(アドヴォカシー)グループ・地域開発グループのそ れぞれにたずさわる組織相互の、より良いコミュニケーションと連携が必要とされる。

 除去地の割り当ての問題は、現在のカンボジアに存在する重大な土地所有権問題のほんの一部にすぎない。土地問題に関する、より有効な法律、規則の必要性については、この文書の他の部分で取り上げる。

註:カンボジア赤十字、HI(ハンディキャップ・インターナショナル)による地雷被害 データベースでは、1997年12月で 113人、1998年1年間で 1,152人だった。1999年1月 の推定死傷者数は 75人以上である。専門家によれば、さらに20%を未報告分あるい は 調査外地域の分として加えるべきである。

(訳者註)
1.CMAC総裁は1999年2月24日カンボジアの「地雷を考える日」の演説で、99年1 月の死傷者数は54人だったと発表した。

2.訳者の手元にあるデータでは:
    98年1月の死傷者数:181人
       2月        135人
       3月        124人
       4月        113人
       5月        118人
       6月         89人
       7月         72人
       8月         88人
       9月         53人   9月までの累計   973人

3.CMAC総裁は上記の演説で、死傷者数の減少の要因として、地雷回避教育の徹底と、危険地域への標識の完備であると説明した。 一方、このデータをまとめた、HIのデービッド・ハンスバーガー氏が98年10月に 訳者に語った所では、地雷による死傷者数は、紛争による戦闘の規模と回数、及び難民等の定住地への帰還者数と回数によって増減する。